心電図：Ｐ波の周期の異常

心房粗動

• Ｐ波は非常に早く、連続して回数が多い(鋸の刃状に見える、F波)
• Ｐ波とＱＲＳ波は２対１以上で、Ｐ波の方が多い
• ＰＰ間は短く、Ｐ波は１分間あたり２４０回以上
• ＱＲＳ波の間隔(ＲＲ間)は、やや不規則
• Ｔ波は無いか、正常など様々

心房粗動(AF: atrial flutter)の疑いがあります。血圧の低下、息切れ、胸痛などの症状が現れ、長く続くと心不全となり非常に危険な状態になります
心房粗動を起こすものは、虚血性心疾患、心臓弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、甲状腺機能亢進症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などです

洞不全症候群

• Ｐ波の形は正常だが、一部が消失しているために１分間あたりの回数が５０以下、ＰＰ間は不規則
• ＱＲＳ波の幅は０.１２秒より狭いが形は正常
• Ｐ波とＱＲＳ波は、１対１で対応
• ＰＱ間は正常(０.１２秒以上０.２秒以下)
• Ｔ波は正常

洞不全症候群(SSS: sick sinus syndrome)の疑いがあります
失神や心不全症状がある場合は、ペースメーカーを使う必要があります。
原因となるのは、虚血性心疾患、心筋症、心筋炎、心膜炎、膠原病、加齢、迷走神経緊張状態、慢性心筋変性と、ジキタリスや抗不整脈薬などの薬剤です

上室期外収縮

• 時折、形が異常なＰ波が早い周期で現れる
• Ｐ波が早く現れるために前のＴ波と重なってＰ波が確認できないことがある
• Ｐ波とＱＲＳ波は、１対１で対応
• ＰＰ間、ＲＲ間の長さは不規則
• ＰＱ間、ＱＴ間は正常
• Ｔ波は正常

上室期外収縮(SVPC: supravetricular premature contraction)の疑いがあります。１分間あたり１，２回の頻度で起きる場合は経過観察ですが、多発する場合は危険です
原因は、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心臓弁膜症、先天性疾患、肺疾患、体重減少、甲状腺機能亢進症などです。
上記の上室期外収縮の心電図で、ＱＲＳ波が欠落することがある場合は、非伝導性上室期外収縮(blocked SVPC)の疑いがあります