心電図：Ｐ波が無い

心停止Ｐ波が無い、Ｐ波が消失している場合は、ＱＲＳ波も確認します。
何の波もまったく無い場合、患者に動きがあれば電極が外れているだけです。
患者がまったく反応しない場合は心停止の可能性がありますから直ぐに救命処置をします。

心室細動Ｐ波、ＱＲＳ波、Ｔ波が確認できず、不規則な波が観察される場合は、心室細動(VF: ventricular fibrilation)ですから直ぐに救命処置をします。

心室補充収縮

• ＱＲＳ波の幅が０.１２秒より大きく、1分間あたりの回数が１５〜４０
• Ｐ波は無いことが多く、Ｐ波があってもＱＲＳ波に連動していない
• Ｔ波はＱＲＳ波と逆向き

心室補充収縮(escape beat)の疑いがあります。これは、心臓を規則正しく動かす信号が心室まで伝わらないために、心室が固有のリズムで動いている状態です。
血圧が保たれていない場合は直ぐに救命措置を行う必要があります。
心室補充収縮になる原因は、完全房室ブロックを起こす疾患、虚血性心疾患、心臓弁膜症、先天性心疾患、心筋症、高度除脈を引き起こす疾患があります

心房細動

• Ｐ波が無いか、不明瞭
• 基線(Ｐ波の始まりと次のＰ波を結んだ線)が小刻みに揺れる
• QRS波の形は正常だが、幅は狭く(０.１２秒より狭い)、ＱＲＳの間隔は不規則
• Ｔ波は不明瞭から正常まで様々の形を取る

心房細動(Af: atrial fibrillation)の疑いがあります
考えられる原因は、加齢(高齢者の１割ぐらいにはある)、虚血性心疾患、心臓弁膜症、心筋症、甲状腺機能亢進症、心膜炎、肺塞栓症、心房中隔欠損症、電解質異常です。
その他、睡眠不足、アルコール、急性胃腸炎、精神的ストレスなどでも認められる心電図です。
急に現れた場合や発作性の場合は原因を探りますが、慢性的なものは経過観察します